〜中国演奏旅行の思い出〜

                                ピアニスト 大庭直子

 先日、白門グリークラブにとってのビッグイベント『中国演奏旅行』が無事終了致しました。私もピアノ伴奏として同行させて頂き、おかげさまで貴重な体験をする事ができました。   
 
 一応社会主義国家の中国国内において放送局の管理体制にはやはり厳しいものがあるらしく、私達の乗ったバスが北京放送に到着した時にも、入口には大きな銃を抱えた兵隊のような服装の人が立っていました。

 前日の市内観光で見た天安門広場をはじめ街中いたるところの過度ともいえる位のライトアップ(なぜか民家まで)、あちこちに建っている立派な高層マンション、豪華な外資系のホテル・・・、こんな風景とのギャップに一瞬ドキッとしてしまいました。

 そしてこの旅行のメインである公開番組の録音。結果は大成功で「さすがは白門!」といったところでした。中でも中国の歌と日本の歌が喜ばれていたようでした。

 ただ、伴奏の私にはちょっとしたトラブルがありました。ひとつはピアノについてです。アップライトを使うという話はあらかじめ聞いていたのですが、これが木箱のようなピアノで、背が低く、メーカー名も入っていない何とも素朴な(良く言えばかわいらしい?)ものだったたのです。弾いてみると、鍵盤もふかふかしていて、ガッチリ押さえないと音が抜けてしまいます。音程もかなり怪しかったので歌う方も大変だったろうと思います。後で聞いた話では北京放送でも現在このピアノは使っていないそうです。「大変だったでしょ?」と同情され思わず笑ってしまいました。

 もうひとつは演奏中に小学生位の男の子が私のすぐそばまでやってきて、ピアノや楽譜に触ろうとした事で、これにもかなり驚かされました。でも、演奏会自体はこんな事がどうでも良く思えてしまう程和やかで、合間にくじ引きやカラオケ、インタビューなど交えたまるでお楽しみ会のようなほのぼのとした雰囲気になりました。(右写真はピアノの前で開始を待つ筆者)

 今回の旅行を通じて皆さんのお人柄の暖かさを改めて感じました。初日の観光でスーツケースにカメラを置きっぱなしにしてきたマヌケな私に対し、「好きに撮っていいよ。」と気前よくポンとカメラを貸して下さった方。ホテルでカードキーの磁気が弱くなり部屋に入れなくなっていた時に、英語のダメな私に代わってフロントまで説明をしに行って下さった方。何かにつけて細かい気遣いをして助けて下さったご家族の方々。そして、今回残念ながら演奏旅行には参加できなかったものの「いってらっしゃい、気を付けてね。」と笑顔で送って下さったメンバーの方々。

 皆さんのおかげで、ぬくぬくと安全で楽しい旅をする事ができました。このような機会を与えて下さった白門グリークラブと北京放送はじめ演奏旅行に関わった全ての方々に心から感謝致します。 本当にありがとうございました!!
 11月3日、万里の長城の急坂で休む筆者  演奏会を終えたレセプションでLiao Liさんと

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